なにはともあれ。流れとしては「SOX法ってなんじゃらほい」なので調べてみました。
SOX法。正確には Sarbanes‐Oxley act (サーベンス・オクスレイ法 / 米国企業改革法 )。
この法律は、企業の会計や財務報告が「正確で透明性が高くなるように」という発想で出来上がってます。
「コーポレートガバナンス」とか「監査制度の改革」とか「企業経営者の、投資家に対する責任と義務」とか、そのへんもキーワードですね。
…って書いても微妙なのですが。
平たく法律は「悪さをしでかした連中がいて再発しないために作られる」モノなので。
SOX法を作る引き金になった「悪さ」を調べてみます。
概ね「エンロン事件」と「ワールドコム事件」が引っかかってくるのですが。
ここでは「エンロン事件」を取り上げて見ませう。
エンロンってのは、総合エネルギー取引とIT関連ビジネスで、2000年度全米売上高第7位という米国有数の大企業でした。
ただ、巨額の不正取引と粉飾決算が明るみに出て、2001年12月に破綻。
この粉飾決算には大手で名門な会計事務所のアーサー・アンダーセンも加担しており(具体的にはEメールをはじめとした証拠隠匿)、最終的にはエンロンもアーサー・アンダーセンも消滅してしまった、と。
んで、当然ながらエンロンの株や債権は暴落、これらを組み込んでいたファンド(MMFや投資信託など)も元本割れ、多くの投資家が莫大な損失を被る、というかなり幅広い問題が発生してます。。
まぁ豪華絢爛w
つまり「不正取引と粉飾決算がはびこると経済がしゃれにならんレベルで破綻するから破綻しないようにそーゆー事象を防ごうじゃないか」っていうのが根っこになります。
ちなみに、結構芋づる式に露見したらしく、2001年のエンロンの巨額粉飾事件から起因して2002年7月にはSOX法が制定されたっていいますから相当焦ったのでしょう。
ここテストに出るからね。
余談:粉飾決算
いわゆる売り上げってのは基本的に黒であるほうがよいのですが。どうしても赤字になってしまう瞬間ってのは、因がどこにあるかはともかくとして、ありえるわけです。
で、「それでもなんとか見せかけだけでも黒字にしてみたい」「だから売り上げとか利益とかを実際よりも多く見せかけたい」ってのが、粉飾決算への道になります。
手法は様々ですが。
- 実際には存在しない売上、または翌期に計上されるべき売上を前倒しするなどの「売上の架空計上」
- 人件費や設備投資といった、減価償却費などを操作する「営業利益の水増し」
- 期末棚卸の際に在庫を過大評価して、売上原価を少なく見せかけたり、したりする「利益の圧縮」
- 連結企業間で行う、子会社への「押し込み販売」*1
などがあるようです。
さてさて。
元々「健全で透明な企業の財務報告」という発端があったのですが。
当初「すべての財務諸表を人の手を介することなく自動的に生成できるようにしよう」という、ある意味お見事に透明な方向性を持っていたらしいのですが。
まぁぶっちゃけ「投資が半端じゃなくかかる」「特に銀行がしゃれにならん」「大手銀行のいくつかがブッシュ大統領の支持基盤だったからとりあえず突き上げてみた」という素晴らしい政治的判断によって、「とにかく企業内で内部統制をちゃんとやろうよ」って方向性に捻じ曲がっていきます。
とはいえまぁ「財務報告の透明化」とかってのはいい事なので、まぁよしとしようじゃありませんか。
これが、米国のSOX法のあらましでございます。