gallu’s blog

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

マジックミサイル術式考察

「マジックミサイル」という術式の特殊性について考察を記す。


そもそも、この術式には「他に見られない」特殊な術式が織り込まれているのは周知の事実である。
通常の投擲/射出系魔法であれば「生成術式+推進術式」または「生成術式+投擲術式」である。


推進術式とは「生成した術式の1点ないし複数点に推進用の力」を付与する術式である。普通は直線推進だが、複数点の推進力を細かく制御することで、弧を描く、蛇行する、などの奇妙な軌道も可能になる。氷弾系、雷撃系によく使われる術式である。
投擲術式は正確には「生成術式によって生成された魔法力の"起爆トリガーの遅延"」である。通常「接触」をトリガーにしているので、この術式がない(あるいは不完全)だと、術者の手元で起爆してしまう。火球系と石弾系は普通この術式だが、術式が不完全であるために「手元で起爆せてしまう」危険性から、昨今「推進術式による火球系呪文」の研究が進んでいるのは周知の事実である。


さて。
普通に考えるとマジックミサイルは「不規則な弾道をとることがある」ので推進術式を用いていると勘違いする愚かなるものどももいるようだが、実際のところ、マジックミサイルの術式は「生成術式+完全命中術式」という、きわめて特殊かつ研究するにふさわしい術式構成をしている。


「生成術式」については考察するほどのものもなく、単純に「エネルギーアロー」を作り出すだけである。「接触による起爆」など、一般的な投擲/射出系呪文の「生成術式」と大差なく、むしろ威力としては「純粋魔力」に近いものをただ固めているだけなので、レベルとしては「低レベルな生成術式」であるとすら言える(その点が非常に重要なのだが、それはまた後述)。


問題は「完全命中術式」である。
完全命中術式を考察するにあたって、これに「効果の現れとしては非常ににている」、追尾推進術式をまずは分析してみよう。


追尾推進術式は、高レベルの投擲/射出系魔法ではおなじみの術式ではあるが、原理そのものはさほど難しくない。
複数点ある「推進力」をコントロールすることで「相手の回避行動を予測したうえで」追尾させるだけである。通常は「術者の目」が用いられるが、遠距離射出が可能なタイプの場合、そこに「魔法の目」を付与させて、視認は「魔法の目」に頼ることも多い」
もちろん「視覚」を用いるために、場合によっては「簡単な幻影魔法」程度で回避可能ではあるのだが、実際には「射出魔法の移動速度」に対して「幻影術式を組み立てる時間」が足りないことも多く、事前準備がない限り「反射的な対応」は困難である。つまりは「事前準備があればどうとでもなる」とも言えるのだが。


しかして「完全命中術式」は、この「追尾推進術式」とは、術構成において「根本的かつ本質的に異なる」つくりになっている。
調査解析をした結果、恐ろしい事実が判明した。
完全命中術式は「"あたった"という事実を作り出す」術式だったのだ。
わかりにくいのであれば、こう言い換えよう。「因果律を組み替えて、"命中した"という事実を因果に組み込む」術式なのだ。


さまざまな古典魔法を含む魔法を調査しているが、現在のところ「因果律に干渉する」などという非常識な術式は、かけらほども見当たらない。
そもそも「因果律に対する干渉」については、何人かの高名な魔術師たちが「なんどもチャレンジして」、公式には「原理的に不可能であることが、魔法理論上証明されている」理論なのだから。


ちなみに「因果律干渉に関するチャレンジ」については、いくつかの書籍でその軌跡がたどれるので、学んでみるのもよいだろう。
一般には「時間干渉系」と「空間干渉系」があるが、「異界干渉系」にもいくつか面白い研究が残っている。


話を戻そう。
「なぜ可能なのか」は後に調査をするとして、まず私は「完全命中術式」が「どのような仕組みで」命中にいたるのか、その過程を調べてみた。
基本的には追尾系と似ていて
・特定の目標をマーキングして、マーキング対象「のアカシャレコード」に対して「命中」という事実を書き込む
という形式であった(書いていて、われながら眩暈がするような文章だが)。
また、更なる調査の結果として、完全命中術式には
・相手をマーキングするために必要な、相手の「なにか」を調査する
術式が(おそらくは)混ざっているであろうことも判明した。
「おそらく」というのは簡単で、その術式を抜き出すことができなかったからだ。


さらに調査を重ねた。
「マーキングのための」なにかだが、基本的には「術者が」「肉眼で」視認する必要があるようであった。マジックミサイルの有効距離である20m以内であっても、相手を「魔法の目」経由で視認するとほぼ術式が失敗する。
「ほぼ」というのは、魔法の目を「術者の眼球と寸分狂わぬ位置」に設置すると発動したのが唯一の例外として存在するからだ。
どうも「術者と対象との距離」にも意味があるらしい。


ここで、とある魔術師の知見から、興味深い仮説にたどり着いた。
いくつかの、治療系および生体調査系術式で近いものがあるそうなのだが、「魔力でも生命力でもない」何か、個人を識別しうるパターンというものが、あるのだそうだ。
リアルタイムかつ不連続に変化をするので初期は「調査情報のノイズ」だと思われていたらしいのだが、どうも「ノイズではない」というのが、最近の学説なのだそうだ。


そんな彼らに協力をもらい、マジックミサイルの中にある「マーキングしている」と思しきあたりについて調査をしてみた。
そうすると、生体調査系術式で出てくる「不連続な"何か"」のうちの何種類かと、弱い相関ではあるのだが、相関性が認められた。


現在は、その「マーキング術式」の抜き出しと、マーキング情報の特定を研究している最中である。


理論的には。
もし、そのマーキング術式を抜き取り、入れ替えることができると。
マーキングできた個人に対して「距離に関係なく」確実に術式を命中させることができる。

さらに。
現在確認できている限りでは、マジックミサイル内の「完全命中術式」は、エネルギーアロー生成術式とあまりにも複雑に干渉しあっていて、どうも「干渉による魔力の(小さな)暴走とバックファイア」をも術式に組み込むことで、きわめて例外的に「術式全体のサイズを小さく、かつ安定させている」ようである。
つまり「完全命中術式」を単体で抜き出すのは、きわめて難しい。


しかし。
もし仮に「完全命中術式」を完全に抜き出すことができれば、それこそ「どんな呪文」であれ、確実に相手に命中させることができるようになる。


研究が完成したら、それはいったいどれほどまで「世界が混乱に陥る」に足るほどの面倒がおきるだろうか。
しかしそれでも、私は研究の手を止めることができない…