がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

型破りなのか形無しなのか…

元ネタ
日本の起業率が上がらない理由
http://futoimegane.hatenablog.com/entry/20140415/1397540751


ん…大枠で言いたいことは分かるんだけど細かいところを見ていると「違うなぁ」とか思い、ざっくりと突っ込みを入れてみたく。

学校で教えられたことにも社会の常識にも多くの間違いが含まれているから常に自分の頭で考えながら生きるべきなのだ、と気づいた人だけが起業家になります。それでは起業家はごく少数しかうまれません。

ここについては、大枠で同意。
少なくとも「相手の言う事を特に検証もせずに唯々諾々と鵜呑みにしている」限り、使用人よりも上にはたどり着けないと思う。


…ただ、ここから先が、割と山盛りで、不安いっぱい悪夢いっぱい、な感じがして、大変にもにょる感じ。

学校で教えられたことにも社会の常識にも多くの間違いが含まれている

を特に否定はしないのですが。
ただじゃぁ「間違っている、と判断した貴方は間違っていないのか?」っていう、その先がちゃんと出来ているのか、という辺りが、まず大変に気になります。
或いは「じゃぁ何故、学校は間違った事を教え、社会の常識は間違ったまま伝達しているのか」。そこを「相手が愚かだから」とか「陰謀が」とかって単語で片付けるのはとても簡単なのですが、それはそれで大変に「如何なものかなぁ」と思うのですが、どうなんでしょうか?


で。

A君の置かれた状況で、最も素晴らしいのは「監督のサインを無視してヒットを打つ」ことです。次によいのが「監督のサイン通り送りバントを決めること」その次が「送りバントを失敗すること」最も悪いのが「監督のサインを無視したのに打てないこと」だと教えるべきです。

この辺りになると明らかに「オカシイ」わけです。
A君の置かれた状況というのは

少年野球チームの四番バッターA君はある日の試合で監督からの送りバントのサインを無視して打ちました。結果はヒットでした。試合には勝ちましたが試合後、監督はA君を強くしかりました。

というものだそうです。


さて、分解してみましょう。


A君がまず「打つ前」に置かれていたのは、以下のような状況です。
・四番バッターなので、打つことが強く要求されるポジションである(双肩に責任を背負ってる、とか言ってみましょう)
・監督は「送りバントのサイン」をしてきた
・A君は「送りバントではなく、普通に打ったほうがいい」と判断した


打つ前に「打てるか打てないか」が確実に分かるような、未来予知*1の類いまたは確率操作*2の類いの特殊能力があるってんなら話は別ですが。
そうでない場合、A君が選択出来るものは
・監督の意見を無視して打つ
・監督の意見を尊重して送りバントをする
の2つになります。


ちなみに、Blog主の発言から、これの選択を「素晴らしい」順位で確認すると
・監督の意見を無視して打つ(最も素晴らしい、或いは最悪の選択)
・監督の意見を尊重して送りバントをする(2番ないし3番目の選択)
となります。


で…「最も悪いのが「監督のサインを無視したのに打てないこと」だと教えるべき」なのに、文章全体としては「それでもリスクを負え」っていう文章になってるのって果たしてどうなんだろうなぁ? とか、おいちゃんは思うわけなのですよ端的に。
且つ「リスクを犯す時には、すべての責任を負わなくてはいけません」でしょ?
それは「自分が腹をくくって選択する」分には特に止めない方向性ではあるにしても「他人にお勧めする」ルートとしては、激しく、如何なものかなぁ? と。


もう一つ、読んでいて物凄く気になるのが「A君はなんで監督の言う事を聞かなかったのか?」という背景。
正直、そこの背景が見えない時点で是非とか可否とか問われても「状況による」としか言えないんだよなぁ、っと。


なので。
勿論

この教材の内容が意味するところは、「協調することやあらかじめ決められたルールを守ることの大切さ」を学ばせるというところにあります。

ってのは論外なんだけど、同じくらいに

最も素晴らしいのは「監督のサインを無視してヒットを打つ」こと

という風に「ルールなんて破ればいいんだ」で片付けてしまうのも、同じくらい論外だなぁ、としか、正直思えないわけです。


んと…
「時として、ルールを破るという選択肢を考慮することも出来る、程度に柔軟な頭を持っていること」は、とても大切だと思うのです。ここについては激しく同意。
ただ、一方で「ルールが規則が出来た理由と背景」とかをきちんと考えて考察して踏まえておかないとマズイのも、同じくらいに大切だと思う。


可能性として想起される「特に最近の起業家さんのエピソードが云々かんぬん協調性なんかいらないルールなんて破ればいいんだ」な反論については。
とりあえず「相関と因果の違い、及び"母数"の再確認をどうぞ」の一言で片付けます。



協調については…「和して同ぜず」の一言で片付くからなぁ(苦笑
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」って言葉を、しっかりと噛みしめるといいんだと思う。


うんまぁ「日本の、学校教師とかその辺」を見ていると。
確かに割と高確率で「規則やルールに盲目的で全体に絶対服従」てな御仁は大量にいらっしゃるので、懸念する方向性がわからんではないのですが。
とはいえ「じゃぁ本質的にどこがまずいのか?」の押さえる場所を間違えると、それはそれで「逆の方向に駄目な人を増やす」だけなんじゃないかなぁ? とか思ったりするわけなのですよ。


勿論これが「穴だらけの文章を書いておいて"だから盲信するなって言っただろう自分の頭で考える事が必要なんだよ"というマクロな話の展開に入る」可能性とかも捨てきれない辺りが大変に面白いなぁ、とか思ってみたりはするのですが。


ちなみに起業を考える場合。
おいちゃん的には
・「なんで起業しなきゃいけないの?」に対する大量の自問自答
が前提にあるのですが。起業が「目的」ではなくてちゃんと「手段」であり、目的が別にある事を前提にして。
・出来るだけ低リスクで、小さく小回りがきくようにstart:正直「投資家募って天使様お願い! って祈ってベンチャーキャピタル突っ込んで」ってやっても、地獄のカマの温度が上がるだけだと思う B-p
が自衛策で。
かつ、社会的に
・ちょっとくらい失敗しても、再チャレンジがしやすい状況と環境と空気を作る
のが、よいんじゃないかなぁ? とか思ってみたりします。

*1:timeの2dotくらい?

*2:entropyの2dotくらい?