がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

「会えばわかる」の微妙なライン

元ネタは、一応、ここ。


藤田 晋「ぼくは、この人とは揉めちゃいけないなと思うと、すぐに会いに行くようにしている。」
http://heyazine.com/story/fujita_susumu


「一応」ってのは、元々この辺は色々と考えている事が多かったから、これを読んで「初めて考えた」ってわけでもないので。


んで、唐突に本題。

伝言ゲームを想像すると簡単ですが、取材や翻訳など、第3者を通じて物事を人に伝えようとすると、どうしてもニュアンスがずれたり、内容が全く異なるものになってしまうことがありますが、これは人間が他の動物にない「想像力」を持っているからであり、実際私たち人間は物事を100%「そのまま」受け取ることはできません。

この辺は、山盛りでYes。
まずそもそも「文章を正確に伝えている訳ではない」時点で、情報の削除と追加が発生する、ってのが1つ。
次に、実際の発言には「声色、音程、間、表情」など、文字情報にしにくいあたりも重要度がある、ってのが1つ。
最後にどうしても「どこ経由でその話が耳に入ってきたか」によって、情報に一定量の付与が発生してしまっている、ってのが1つ。


これだけ考えても、伝聞ってのは「情報が歪む箇所」が山盛りであるわけです。
この辺はまぁ、現代近未来系の陰謀モノTRPGGMとしての嗜みではございます。

経済学者のエドワード・グレイザーは、こうした文化の違いによるコミュニケーションはいつもややこしく、翻訳を介することで必ず何かが失われるものだが、対面で長時間過ごせば、お互いは正しく理解できるものであり、メールであれば伝わりにくいニュアンスも、対面ではにっこりするだけでしっかり伝わると述べています。

まぁ、そのまんま。


で…この辺から。

人気TV番組「情熱大陸」のプロデューサー、福岡元啓氏は取材中に作家の伊集院静氏を怒らせてしまい、「来ないでほしい」と取材拒否をされた時、彼の滞在先のホテルを調べて謝りに行ったことを著書の中で明かしています。


「伊集院さんの背中に向けて精一杯頭を下げると、振り向きざま、はっとした驚きの表情を見せた伊集院さんは、一瞬ですべてを理解してくれたようでした。"もう大丈夫です。明日からまた取材に来ていいよ。"」

サイバーエージェント藤田晋さんも、過去に訪れたビジネス危機の際、楽天の三木谷さんに会いに行き、援助を受けたことで難局を切り抜けたことを告白しており、対面を通じて人間力を発揮する重要性を理解している経営者の一人でもあります。

この辺とか、ちと引用が前後しますが

デジタル上だけでコミュニケーションを取ったグループは、全体の利益よりも、自分個人の利益を優先したため、チームワークは破壊し、信頼関係を築くことはできませんでした。

この辺とか、を念頭に。

「ぼくは、この人とは揉めちゃいけないなと思うと、すぐに会いに行くようにしている。実際に会ってきちんと説明したり説得したりする。相手が怒っていても、顔を突き合わせてなだめることで、相手が態度を軟化させることがある。」

この辺あたりが、どの角度から見るかによって色々と違うなぁってあたりが「微妙なライン」。


上述にも書いた通り、対面でのコミュニケーションの場合って「声色、音程、間、表情」あたりが入ってきて、この辺って割と「感情の表現」になりやすものなので。
そうすると「口にするには難しい、本当に申し訳ないと心の底から思っている謝意」って、どうしても対面じゃないと伝わらないところがあります。
その辺を考えると「謝意を伝えるためにも、ちゃんと会わないと、そもそも伝わらない」というあたりから考えると。
「まずは会いましょう」って話には十分な理があります。


ただ一方で。


まず「心から謝意を持つんだけど三歩歩くと忘れるタイプ」がいて、この手の相手に「謝意があるから」ってんで許すと、彼らは「謝意さえあれば許してもらえる」って方向に学習をするので、結果的に被害が延長増大するケースがあり、果たしてそれが「良いのか?」って辺りには、色々と疑問が出てくる状況なのではないか、と思われます。


次に「謝意に脅迫と駄々こねを混ぜてくる」タイプがいて、この辺りで「謝罪されている側が根負けする」と、大体上述と一緒な、しかしもうちょっと面倒な話になります。
謝罪をうけた方としては「根負けしたのでしぶしぶ」なのですが、その辺の情報は当然ながら霧散するので、謝意を示した側は「謝って許してもらったんだから無問題(ってことでまた傍若無人になる)」とか、それで不快感を示すと「一度謝罪して納得したはずなのに蒸し返すのはヨクナイ!」とか。


「謝意があんまり含まれず、相手が根負けすることを初手から狙ってくる」タイプがいて以下略。
この辺も、上手くいけばいくほど学習します。


「謝意があるかの如く振る舞える」、所謂、詐欺師系のスキルとかに長けている御仁ってのもいらっしゃいます。
で、その辺りになると「欺されやすい」または「根負けしやすい」タイプを探す嗅覚に優れてたり長けてたり長じてたりする、っていうシナジー効果が期待されるようなスキルマップを所持しているケースも少なくないでしょう。


荒っぽいと「逆ギレして脅迫してくる」タイプなんてのもいらっしゃいます。
「その場でのお話」だと、少々の脅迫は「証拠がない」ってんで公のバトルには用いにくく、一方で「相手への心理的プレッシャー」は十分に与えることが出来るので、それなりの効率が期待できます。
脅迫関連ですと「言外に臭わせる」なんて手法がお得意な方も随分。言外なので色々と追及はしにくいのですが、相手への心理プレッシャーは十分な質量が期待できます。


「詭弁で誤魔化す」系の方もいらっしゃいますね。
そこからの進路変更は割と潤沢で、「誤解だった事にする」から「脅迫」、「主従の逆転(「むしろ私が気分を害するところですが私は気にしませんよ」的な)」などなど、選択肢は色々とございます。


んで…この辺になりますと「相手が怒っていても、顔を突き合わせてなだめることで、相手が態度を軟化させることがある」ってお話が、些か、異なるニュアンスの意味合いを帯びてきます。


恐らく初手のお話の文脈としては「誤って怒らせてしまった相手に対する謝罪術」の方向だと思うのですが。
この辺が違う角度のテクニックとして確立すると「踏み込んで怒らせたのをなだめつつ踏み込みはそのままにして更に踏み込んで怒ったらなだめつつ以下loop」とかいう、大変に「フットインザドア」的な趣のあるスキルに化けます。
「庇を貸して母屋を取られる」とか「軒を貸して母屋を取られる」なんて諺があるあたりから、この辺が昔から「一定数、観測出来ているんだろうなぁ」なんて事も予想可能ですし。


そういった諸々を考えますと、時々耳にします「会ってお話をすれば」的な事が、必ずしも「そうだよねぇ」と肯定一点張りにはしにくいところが出てくるものでございます。
ちなみに近似値として「電話」も似たようなもんです。


無論「だから全てmail」とは言いませんが。
ケースバイケースなのと、状況に応じての使い分け、ってのが重要ではあるのかもしれません。


ちなみにおいちゃんの切り分けは「信用出来る相手とは対面や電話を織り交ぜる」「信用出来ない相手とはmail以外ではお話をしない」っていうのが基本でございます。
まぁとはいえお仕事の場合「対面の後は、ちゃんとmailでやりとりの痕跡は残す」もんですがね。


色々あるなぁとか思いつつ、色々思うところもあるので、ざっくりと。