がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

「弁護士」という職分について

最近何かとご縁のある*1ご職業なのですが。
ふと、面識のある人から、こんな一言を貰ったのが、今回のきっかけ。

ただ、弁護士っていう仕事は、「どう考えても勝てない依頼人でも、勝たせなきゃいけない」という側面もあると思うんですよ。


直感的に「違う」とは思ったのですが。
んじゃ「なにがどう違うのか」を掘り下げていくと、結構面白いかなぁ、と思いまして。


また。
この話の前提にある、別のところで言われた事のある、引っかかっている内容もありました。
えと…一つは「どんな人も訴える権利を持っている」という、これは(信頼に足る)弁護士さんの台詞。
もう一つは「加害者だからといって全てを否定してよいわけじゃない」という、これは法哲学を学んでいる友人の台詞。


わからない訳ではないんだけど咀嚼が難しくて。
で、なんとなく。最近のいろいろな経験のお陰で、少し咀嚼ができるようになってきまして。


まず、一番初めに「加害者だからといって全てを否定してよいわけじゃない」というのが、これは割合にすんなりと理解できるラインで存在しまして。
えと…例えば「幼女を含む婦女暴行の末に残忍な殺害*100人。理由は身勝手な性癖」とかいう状況で「加害者は死刑」とか言われてNG出す人は多分「死刑廃止論者」くらいなんじゃないかなぁ、と思うのですが*2
一方で例えば「酒のんで我慢できなくて暗闇で立ちション」の刑罰として「被告人は死刑」がふさわしいかと問われて、Yesという人はあまり多くないのではないか、と愚考いたします。


だとすると。
いやまぁ難しいとは思うのですが、とりあえずなにがしかの基準で「ある程度、コモンセンスとして同意が取れるんじゃないかと仮定することが出来る、罪に対する罰則の重さ」ってのが、ある程度、あるにはあるんじゃないか、と思いまして。
で、一方でやっぱり被害者としてはそれこそ「殺意すら持ちうる」状況に対して、加害者側に対する「そうはいっても殺さにゃならんほどのもんでもないし」という一定の防護策は、本来的本質的基本的には*3、必要なんじゃないかと思います。


で。
その「本来本質基本として必要な」弁護をするのが、職分としての「弁護士」さんのお仕事なのではなかろうか、と、そんな風においちゃんは考えます。
つまり「明らかに不条理な刑罰を、せめて"まぁそんなもんぢゃね?"くらいの、とりあえず不条理ではない程度の納得できるレベルの刑罰にまでは軽減させる」ようなイメージ。
ここらあたりまでが、おいちゃんが「コレクトだなぁ」と感じる、弁護士さんの職分です。


でまぁ。
それをする上で、どうしても「法律そのものに不備があるために」如何ともしがたい状況で。
だとすると、やむを得ない理由による、ある程度までの「虚構のロジックを構築する」のは。
本来的には「法改正」が望ましいと思うのですが、そうそう一朝一夕にはどうにもならない現状を考えると、やむを得ない部分もあろうかと思います。


話の流れで想像が出来るとおり。
これ以降、おいちゃんが「コレクトだとは思えない」領域に突入していきます。


上述をもう少し、いくつかを「意図的に」オミットないし曲解しつつ、或いはきれいにいうのであれば「抽象化しつつ」整理しますと。
依頼人の現状置かれている立ち位置を前提に、より依頼人にとって"プラスな"方向に状況statusを動かす」のが、弁護士としてのビジネスである、という事になります。


もちろんこの定義、真っ当な方向でも使えるので、必ずしも奇妙一本槍ではないのですが。
とはいえ、この定義、きっちりと「奇妙奇天烈」な使い方もできるようになります。


で、奇天烈な方向をグリグリっと頑張ると「どんな重犯罪者でも無罪にしてみせる」的な、明らかに「はしたない」方向性が沸いてきます。
あぁ念のため。弁護士は必ずしもディフェンスだけではないので。彼らがはしたなくオフェンスに走ると、これもまた結構な「やらかし」をしてくださいます。
まぁ実例は書くまでもありませんが。殺人なんかで「精神鑑定つかって無罪」とかってのは、おいちゃん的には「はしたない系の好例」だと思ってます。


で、ぐるりと回りながら本題に戻りまして。

ただ、弁護士っていう仕事は、「どう考えても勝てない依頼人でも、勝たせなきゃいけない」という側面もあると思うんですよ。

おいちゃんは、弁護士というお仕事が「どう考えても勝てない依頼人でも、勝たせなきゃいけない」か? と問われたら、やはりNoだと思うです。
より正しくは。
ピーター・ファーディナンドドラッカー先生がおっしゃるところの「知的労働者に必要な倫理観」を持った上で、「なりふり構わずに勝ちに行く」なんていうような下品かつ愚劣な事は、やってはいかんのではないか、と思うですよ、おいちゃんは。


多分。
一方の意見として「そういう濁を呑み込んでこそ大人だ」とか的論調がありそうなのですが。
品性と引き替えの大人称号とか、おいちゃん的には0.1mmたりとも興味もてないなぁ。


あぁ余談。
上述は全て「事実に対してどのような罪が妥当か」を図る方向性であって。
間違っても「ぶつけたい罪を先に決めておいて、その罪を前提にどんな事実や法律を曲解させればいいか」なんていう、もやはケダモノとしか思えないような「理性の欠片もない輩」は一切合切含まれてませんので、念のため。

*1:ご縁の具体的な内容はそのうち、それこそもぉ「具体的」に B-p

*2:えぇもちろん「殺すなんて手緩い」とかって考え方もありますし「ちょうど良いぢゃん合法的な人体実験用の素体として有効利用するのが今時でいうところのエコだよ」って見地もあろうかとは思うのですが

*3:ここ重要