がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

「クラウドワークスはエンジニアを幸せにはしなかった」のか?

元ネタ
クラウドワークスはエンジニアを幸せにはしなかった
http://crapp.hatenablog.com/entry/2016/02/25/232621


なんとなし色々なアンテナに引っかかってきたので、おいちゃん的雑感。
端的には「うん幸せにしなかった。でも、ほかのルートなら幸せになれるの?」ってあたり、かなぁ。

何故かと言うと、クラウドワークスとは、そもそもエンジニアの為に作られたサイトじゃなく、むしろクライアント(発注者)がエンジニアを安く買い叩くためのサービスに過ぎなかったからだ。

特に否定はなし。
ただじゃぁどこかに「発注者がエンジニアを安く買いたたく、以外のスキームが存在するのか?」と聞かれると、色々と疑問が以下略。

この画像はまさにクラウドワークスの本質を突いている。クラウドソーシングという甘い言葉でエンジニアを誘っては使い潰しているのだから。

とりあえず、直前の画像の、クラウドワークスCTOによる「若者は全力で潰す主義」とかいう発言については一切関知せず。
記事読めないし(登録してまで読もうとも思わないし)、論調は(数パターンあるにしても)大体想像がつくので、本気にしてもあおりにしても、あまり魅力を感じないので。


で「エンジニアを誘っては使い潰している」については、クラウドワークスは本質的には「案件仲介所」なので、クラウドワークスが「積極的にエンジニアをつぶす方向に尽力を傾けているか?」と問われると、「ちがうくない?」って思う。

今までクラウドワークスで請けてきた案件を時給換算したら、最低時給を下回るのは当たり前で、中には「3桁円にすら達しない」「そもそも報酬自体が貰えないこと」すら普通にあった。もちろん在宅で働けることを踏まえたら多少は安くてもいい。しかし、問題は、あまりにも安すぎるのだ。それも論外なレベルで。
募集金額自体は低くないことも多い。月50万とかの案件も普通に飛び交っていた。でもそれは、現実世界では200万以上貰わないといけないレベルの仕事だったりする可能性が高い、というか200万で済めばまだいいほうだ。俺は500万は覚悟している。

この辺も大体Yes。
時々は「ゼロが3つほど足りないよ?」な案件にも遭遇しているし(笑
ただ、じゃぁこの手の案件が「クラウドワークスがあるから発生したのか?」というと、いやまぁ「あるから発生した案件」もあるんだろうけど、どちらかというと、クラウドワークスがあるから「人の目に晒されれるレイヤーに顕現した」って程度なのではないかなぁ、と思う。
今までは、どこかの誰かがたわごと的に耳にしていてそのまま流れていたのが、文字化データ化して公開されているだけで。

クラウドワークスにおいては、クライアント(発注者)とエンジニアは直結する。現実世界では、クライアント(発注者)とエンジニアの間に、仲介会社やエージェントなど「余計なもの」が入る。それなら、現実世界ではピンハネされている分だけ、エンジニアの取り分が増えても良さそうではあるが、実際は増えるどころか大幅に減っている。そして「余計なもの」を介さないことでリスクも増える。エンジニアにとっては何一つメリットがないのだ。

「余計なもの」って、ようは営業だよね?
うんもちろん「いてもいなくてもっていうよりもうちょっと積極的に撲滅したい営業」が少なからずいることを否定はしないんだけど B-p
ただ「「余計なもの」を介さないことでリスクも増える」ってことは、つまり、少なくとも一部の営業は「そこを介することでリスクを減らす」効果がある、程度にはコストメリットがある存在だと思うのですよ?

なぜクラウドワークスでの単価は安いのか。一因として、そもそも人は誰しもコストは削減したいという欲望がある。そして、不特定多数から依頼する候補者を選べるとしたらそりゃ値踏みするだろう。

この辺は色々と憂慮されるべきところ。
ただじゃぁ「クラウドワークス以外のルートなら値切られないのか?」と問われれば以下略。

「現場に常駐して働け」とかいうバカがいる

ん…「ニーズがあって、マッチングする」んなら、くらいかなぁ。
まぁ「契約形態」のお話とか色々と色々するので、些かミスマッチ感がある、ってのも否めない事実だけど。
派遣系の業者からしたら「巨大な技術者プール」だろうから、そこにアタッチするのが必ずしも「完全に否定されるものなのか?」って問われると、疑問。

クラウドソーシングと聞いて、「平日は仕事から帰ってきたあと数時間、週末は4時間程度」とかそういうレベルでのコミットメントで仕事ができると期待している人は多いかもしれない。でも気の毒だが、クラウドワークスの大抵の案件は、それではとてもじゃないが時間が足りないことが多い。つまり「副業」として請けられる案件は多くないということだ。

この辺も微妙ではあるんだけど。
そもそも…うんまぁ「ライターの仕事」とかもあるから幾分おいちゃんの論調は極論なんだけど、エンジニア系のお仕事で「平日は仕事から帰ってきたあと数時間、週末は4時間程度」まで細かいレイヤーに切り出してから発注できる発注者がどれだけ存在しているのだろうかなぁ? と。
良し悪しはともかくとして。
現実を見ると、一番足りていないのが、いわゆる上流に近い「設計系」であったり「仕切り系」であったりすることは少なくないので。
そこに加えて「発注者のロースキル」を考えると「必要なのに必要であることすら認識できていない」状態であることを考えると、後はなにをかいわんや。

手数料が高く、しかも受注者側が負担

この辺の高低は、色々な目線があるしなぁ。
どちらかというと「手数料高めでも、ある程度のクォリティが担保されている案件が多数」のほうが個人的にはありがたいが、そもそも「クォリティを担保」した時点で案件がごっそりと削れる可能性がですね(苦笑

また、発注する側の手数料は一切かからず、仕事を請けた人間のみが手数料を徴収されるというシステムも印象が良くない。「クラウドワークスが発注者の為のサービス」だと言われる所以の一つがまさにここにあるのだ。

ここまでくると些か被害妄想ぎみ。
仕事を請ける人間が「手数料を想定したうえで」金額を入れればすむ、程度のお話なので。
いやまぁ「その結果として失注」の可能性を特に否定はしないけど。「その程度で失注する」程度の案件、請けてもねぇ(苦笑

クライアント(発注者)のITリテラシーが低い

ここも何一つ否定しない。
しかしじゃぁ「クラウドワークス以外」のルートなら、発注者のITリテラシーに保障があるとでも?

しかし、そういう「IT土方」を顎で使うSE達は、少なくとも現実は分かっている。例えば、彼らはコストと品質はある程度比例することは理解しているので

「彼らはコストと品質はある程度比例することは理解しているので」え? そぉ?


まぁ前段の

端的には、クライアント(発注者)の多くは、「良いものを短時間・低賃金で作れ」と要求する。

ってあたりからし
・よいもの、の定義
からのstartなので、色々と悲喜こもごも。

クライアント(発注者)の人間のクズ率が高い

この辺についても「何一つ否定はしないが、クラウドワークス以外のルートなら屑が減るとでも言うのかね?」的な感想しか。


少し噛み砕いてあるので、かみ砕いてみませう。

前に、あるクライアント(発注者)から直接メッセージを貰い、是非とも仕事を請けてくれと言われた。困っている素振りも見せていたので、人助けだと思って請けたら、契約した後に「同時利用者が5000人規模のサービスを作る。サービスインまであと2ヶ月未満なのであとは宜しく」と言われた。かなりテキトーなPDFだけの仕様書を渡されてあとは宜しくと。そのPDF以外は何一つできていない。

うんまず契約形態が疑問かなぁ?
どう考えても請負で請けられる情報は「皆無に等しい」と思うんだけど。
じゃぁ「準委任なのか?」って考えると

必死だった。とにかく必死だった。時間が足りなかった。昼間は会社に働きに出掛けていて、夜帰ると寝るまで仕事をした。いや途中から寝ることはできなくなって、会社の休み時間に寝た。いやもう途中から会社の仕事はさっさと片付けて会社で作業していた。それだけ頑張っても時間は全然足りなかった。遂には有給も3-4日申請した。

ってのが気になる。
準委任ならあらかじめ「この程度の時間を割きます」っていうネゴがしかれているはずなので、だとすると「時間が足りない」って状況がそもそも発生しにくい。
「全く発生しない」とまでは言わないが、基本「誤差範囲」。っていうか誤差範囲で納めないと、請求額が誤差ではすまなくなる程度に跳ね上がるので、そもそも発注者がこまる(苦笑


これって単純に「契約のいろはを把握できていない状態で炎上案件に特攻した」だけのお話で。
その責任の一部って、請けた当人にあるんじゃ???

クライアント(発注者)は一応エンジニアではあるが、iPhoneとかスマートフォンなどの経験があるだけでWebの事は何一つ知らないようだった。また、そもそもプロジェクトのマネージメント経験もなく、また「テスト」という概念すら知らないらしい。だから本来は必要サーバーのキャパシティとか、ある程度サイトが完成してテストが終わってからパフォーマンス測定して決めるべきことを、PDFを受領して実装している段階で要求してきた。

この辺もまぁ「憂慮すべき」とは思うんだけど。
「エンジニア名乗ってるけどカスだった」なんてのは、別にクラウドワークスでなくても以下略。

クラウドワークス上でここ最近依頼される案件の大半はこれだ。要はコピペやパクった記事のブログ作成係を募集というもの。

この辺はど〜なんだろうねぇ?
専門外なので感想程度しかもっていないのだけど。もちろん「憂慮すべき」ものではあるんだけど、そもそも現在の「いんたぁねっつ」って、そーゆーサイトを「まとめサイト」とか「キュレーションサイト」とか言ったり、下手すると「言わなかったり」してあちこちでやらかしまくそ倒してるから、別にクラウドワークス「が」悪い、ってもんでもなさそうな?
いやまぁ「その辺の問題の一端を担っている」可能性を否定はしない…けど、ゴキブリって「駆逐されても別の場所に湧く」もんだよ? っと。


総括すると…
うん「システム開発を請け負う上での、さまざまな問題が発生している」のは、おそらく事実だと思う。
また、今までは多少なり存在していた「幾分知性らしきものがあるフィルター(営業その他)」が通らない分、「びっくりするような案件」が人の目に触れられるようなところに顕現してきたであろう、ってのも事実。


ただそれって「今までは目に見えなかった」程度のものでしかないし、本質的には「システム開発、というエリアにおいて発生するし発生しうる問題」でしかないので。
それを「クラウドワークスが悪い!!」って論調でまとめるのは、少し、違うのかなぁ? と。


これって最終的には「いわゆる営業レイヤー相当を、だれが賄い負担する?」って話になるので。
クラウドワークスは、現時点では(良し悪しと金額の高低はいったんおいといて)「案件情報のやり取りの場所提供 + 未払いに対する最低限の保障スキーマの提供」くらいを、サービスとしていると思うのですよ。
で、それ以外の、例えば「契約まわり」とか「進め方回り」とか「契約後の内容変更に関する交渉まわり」とか。開発だと「受発注双方のスキルやITリテラシー回り」とか、色々と出てくる問題については、現状、ノータッチ。


そのあたりを「誰かがやってくれる」前提で考えるのであれば、クラウドワークスのサービスは「実は誰もやってくれないから、使うにはリスキーすぎる」わけですし。
逆に、クラウドワークスのサービスを使うのであれば「その辺は自力で担保する」必要があると思うのですよ。
まぁ、以前にクラウドワークスの方と、インタロップだかそのあたりでお話をさせていただいた時には「その辺は色々と憂慮すべきところなのでどうにかしたいですねぇ」的なお話をされていたと記憶はしているのですが…まぁ、難しいところではあるんだろうなぁ、と思うので。


というわけで。
全体の論調として「わからんでもない」んだけど、実際開発現場では色々と困るし。
ただそれが「クラウドワークス悪い!」って話に転嫁されるのは、些か違和感を感じるところでもあるなぁ、と思ったので、一気書き(笑