元ネタは、こちら。
王様の仕立て屋 13 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックス デラックス)
- 作者: 大河原遁
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/01/04
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
この本のP157から始まるお話に出てくる「アルルの女」というたとえが、なんというか、心に「グっ」ときたので。
細かい話は本を買って読んでみてください……どうも物理が流通してるか怪しいんで、電子書籍のほうがよいかも、ですが。
………で終わると「なんのことやら」ってなるので、少しだけかいつまんで。
服屋のセルジュ坊ちゃんが、二人の職人に仕立ててもらった2枚のシャツの優劣を「業界の重鎮」に見てもらった時に。
重鎮は、職人の片方である織部のシャツのほうを「アルルの女」と例えました。
2枚のシャツの差異(の一つ)は、ボタンホールを手縫いで仕上げているかミシンで仕上げているか、の差。
織部は、ボタンホールまで手縫いにこだわってつくってました。
セルジュの「手縫いのほうが職人として優れているってこと?」という問いに、重鎮はこう、答えます。
「いや 一概にそうとも言えない。
ボタンホールは手縫いなら多少丁寧で頑丈に仕上がる事以外は機能的に大した違いはない
手間の割に賃金も知れたものだから数をこなしてようやく酒代程度になるくらいだ
むしろミシン縫いの方が時間もコストも抑えられるので客に喜ばれる場合もある」
では、なぜ織部は「それでも手縫いにしたんだろう?」というセルジュの問いに。
先ほど例えた「アルルの女」の話が展開されます。
「ドーデの"アルルの女"は
一人の純朴な青年に死を選ばせ
彼の母親や婚約者を悲しみのどん底に落としながら
件の"アルルの女"はただの一度も作中に登場しない」
そうして、横に居る女性(エレナ)が、その先の言葉を紡ぎます。
「社長はボタンホールに職人の片思いを見たのですね」
社長は、その言葉をうけて、こう続けます。
「ボタンホールを念入りにやった所で 客に褒めて貰える訳ではない
手を抜こうと思えば抜ける所を妥協しないのは客への心尽くしであり
その姿勢を貫く事は職人のプライドでもあるのだ」
いやまぁ勿論「心尽くしの尽くしがいのあるお客様に限る」ような気はするのですが。
また、プログラミングの場合「"何を"妥協しない」事が正解なのか*1、ってのはあるのですが。
おいちゃん個人としては、そういう気持ちをずっと忘れずにいたいなぁ、と思うので。
ふとしたタイミングで、この話を書いてみたいなぁ、と思ったので、書いてみました。
*1:当然「考える」事である。間違っても「手を動かす」事じゃない