がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

初心忘るべからず

誰でも知っていそうな文章ですが。…実は、多分「全然違う切り口」があります。
どっちが正しい、とかいった正否をどうこうするつもりもありませんので。「目新しい発想だなぁ」程度にご覧くださいませ。


忘れちゃいけないとされる「初心」。では。初心ってのははたしてどんなものなのでしょうか?
学びたて習いたて。何かをはじめた頃の、一番初めの頃に持っていた心。


いえいえ。実は。まったく違う切り口で。こんな意味もあるのです。


人の心は器のようなものです。
始めは空っぽでも、そこに経験という水が学びという水が知識という水が注ぎ込まれ、器を満たしていきます。
それはそれで素晴らしいことです。
しかし。何かを学び取るときに。もしあなたという器の中に、すでに満杯の水が入っていたとしたら。あなたはどうやって、経験という新しく注がれた水を受け取れるというのでしょうか?
器を空にすることこそが。或いは、学ぶためにもっとも大切なことなのではないでしょうか?


卓越しているということは素晴らしいことであると同時に最低でもあるのです。
未熟であればこそ、不出来であればこそ、不得手であればこそ、初めて学べるものが、そこには存在しうるのではないでしょうか?*1


初心とは「自らという器を空にすること」です。
それは「初志貫徹せよ」という硬直した教えではなく。
初心とは「時として自らを虚ろな器と為しうる」やわらかい心を意味するのです。


そんな。禅の心による「初心」を考えると。
初心忘るべからず。
それは、自らを未熟な空っぽの状態にし、その状態をも大切にしなさい。未熟な自分に立ち返りなさい。
そんな意味もまた、あるのかもしれません。

*1:「恵まれているという不幸」と同じ発想だなぁ。