gallu’s blog

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

「理由の如何に因らず」という便利な言葉

「理由の如何に因らず」という便利な言葉があります。類似品として「何が問題なのかはわからないが」「問題点は重々承知しているが」「当方にも問題はあったことはわかっているが」など。
文例をいくつか出してみましょう。


「理由の如何に因らず。人を殺傷することはよくない事だ」
「問題点は重々承知しているが、納品日はきちんと守ってもらわないと困る」
「当方にも問題はあったことはわかっているが、きちんと会話もしてくれないというのは社会人としておかしい」


いずれも正論です。
言い換えましょう。
いずれも一見正論に見える暴論です。


技術者的に一番わかりやすい真ん中を例題に取ってみましょう。
「問題点は重々承知しているが、納品日はきちんと守ってもらわないと困る」


「問題点」にはどれくらいの幅があるのでしょうか? そうして、それは「その問題点があっても納期は守れ」という発言を正当化できる程度のものなのでしょうか?
例えば。「3ヶ月納品で受注した。本来なら前半1ヶ月で仕様確定、後半2ヶ月でメイクの予定だったが、根幹仕様が二転三転し、仕様が曲がりなりにも確定したのは納品前日だった」とします。まぁ極端な例ですが。
この状況を踏まえて文章を作り替えてみましょう。


「仕様確定が納品日前日だったのは重々承知しているが、納品日はきちんと守ってもらわないと困る」


さて。これはYesといえるお話でしょうか? 正論といえる内容でしょうか?
ほかの文章にも。少し極端な、でもあり得る内容で文章を少し変えてみましょう。


「私は君を殺すつもりだが。君が僕を殺傷することはよくない事だ」
「当方はあなたに対して挨拶もしていないしする気もないし、ただ上から押しつけるようにしか物事は言わないし君の事を考慮する気は全くないが、きちんと会話もしてくれないというのは社会人としておかしい」


どれ、とはいいませんが。3つの文章のうち2つは、実体験に基づいています orz
おいといて。


どんな状況であれ。理由というのは「如何に因らず」などと切り捨ててよいものではありえません。「わかったつもりで理解していない」事もざらである事を考えると、安易に「わかっている」と発言するのも如何なモノかと思います。
類似品に「過去からの経緯」というのもあるのですが。
そういったものを軽視し、或いは切り捨てるということは。それを端的に書くと「自分は何事かやらかしたしでもそれに対するフォローをするつもりは一切ないが、君は私の要求通りに動いてくれ」という、大変にアンフェアな精神に満ちあふれた文章になります。


「理由の如何に因らず」という言葉は、大抵の場合、立ち位置として「上」の人間がよく使います。
そうしてそれは概ね「自分たちのやらかした事を無かった事にして一方的に下に対して要求を伝え、通す」ために用いられます。
「理由の如何に因らず」という言葉は一見正論に見えるために。その背後に、例えどれだけ理不尽な事象があろうとも、その全てを糊塗できます。
「何が問題なのかはわからないが」という場合理解しようとする気すらなく。
「問題点は重々承知しているが」「当方にも問題はあったことはわかっているが」という発言主が「本当にわかっている」可能性は皆無です。
なにせ。これらは全て「問題点に対する無考察への呪文」ですから。


便利な言葉です。
取引において。自分は何の支払いもせずに、受け取りだけは正当に要求出来るわけですから。


あなたが上司になりたいなら。是非とも覚えておくとよい文節です。
言い換えましょう。
あなたが自分が例えやらかしたとしてもアンフェアに部下とその成果物を搾取するような、あるいは部下を使い潰して使い捨てるような上司になりたいなら。是非とも覚えておくとよい文節です。


尤も。その時点で、人としての品とかってものが真っ逆さまに落ちますが。