gallu’s blog

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

狂気…或は慟哭

 暗闇にいる。
 いや、違う。光はある。ただ、それが見えないだけだ。
 目が見えない訳ではない。ただ、見えないだけだ、光が。


 闇にうごめくものがある。


「やめろ!! しっかりするんだ!!!」


 闇にうごめくものがある。
 それは……。ああ、ニーナだ。
 昔、よく一緒に遊んだ。
 物心ついた時には、ニーナは側にいた。


「お、俺達は、おまえを殺したくはないんだっ!!!!」


 物心ついた時には、ニーナは側にいた。
 この音はなんだろう…。ああ、水が地面に流れ落ちる音だ。
 そうだ。よくニーナと行った、あの川だ。
 ニーナに水をかけては、泣かせてしまっていたあの頃。


「い、いやーーーーーーっ!!!」


 ニーナに水をかけては、泣かせてしまっていたあの頃。
 そう。球体で脈打つ、変な生物を見つけて、2人で驚いた事もあった。
 驚いた拍子に僕が握り潰してしまった時、ニーナが恐がって泣いていたっけ。


「た・・頼む・・・俺・・たちを・・・・・思いだ・・し・・て・・・」


 驚いた拍子に僕が握り潰してしまった時、ニーナが恐がって泣いていたっけ。
 ああ、又水の流れ落ちる音が聞こえる。
 この暖かい感覚は………
 ニーナの肌に、初めて触れた日だ。
 ニーナと、始めて肌を合わせた日だ。


「お、お前はっ!! ギルの、仲間の血を浴びて、そんなにうれしいのかっ!!!」


 ニーナと、始めて肌を合わせた日だ。
 幼馴染だったニーナ。
 2人の成長とともに、自然に愛しあい。
 そして、始めて肌を合わせた。
 暖かい、幸せな時だった。


「や、止めてーっ!! 殺さないでーーーっ!!」


 暖かい、幸せな時だった。
 あの時ニーナは、恥ずかしそうに微笑んでいた。
 そして、僕の腕に、飛び込んできてくれた。


「せめて、俺の手で殺してやるよ。・・・・うぉぉぉぉぉっ!!!」


 そして、僕の腕に、飛び込んできてくれた。
 僕はそれを優しく抱きしめ…


「お・・・俺の腕・・・じゃ・・・・や・・・っぱり・・・・・・・・」


 僕はそれを優しく抱きしめ…
 いつまでも一緒だよ、といった。
 2人で手を取って。
 僕が冒険に出たあの日も、
 2人はいつも一緒だから、といって、当然のようについてきた。


「どうして!? どうして仲間同士で殺し合わなきゃいけないのっ!!!」


 2人はいつも一緒だから、といって、当然のようについてきた。
 随分長い間、冒険を、旅をしてたニーナ。
 子供が欲しい、といってたっけ。
 僕に、何人欲しい? って、聞いてた。
 僕が答えに窮してると、私は沢山欲しいわ、っていってた。
 子供はかわいいから、たくさん欲しい、って。


「お、お願いします。子供だけ・・・は・・止めてーーーーーーっ!!!!!」


 子供はかわいいから、たくさん欲しい、って。
 ああ、優しかったニーナ。
 子供の頃いった花畑を、まだ僕は覚えている。
 甘い、なんともいえない素敵な香り。


「殺せーっ!!我が国を、民達を、守るのだーーーーっ!!!」


 甘い、なんともいえない素敵な香り。
 そうだ、あの花園だ。
 2人で始めて見つけたあの秘密の花園は、特にニーナのお気に入りだった。
 優しかったニーナ。
 花を摘むのがかわいそうといって、ただ2人で、ずっと眺めていた。
 秋には、林檎がりにいった。
 腐ったリンゴを、間違えてつんだ時。


「わ、わしが死んでも、まだ王族の血・・・ぎゃぁぁぁぁ・・・・」


 腐ったリンゴを、間違えてつんだ時。
 飛び散ったリンゴの汁を、ニーナが、自分の服でふいてくれた。
 ニーナ。
 僕は、君がいれば、もう後は何もいらない。
 ニーナ。君はどこにいるんだい?
 ああ、そうだ。君は殺されたんだ。
 あの、黒い悪魔に。
 …違う、あれは夢だ。


「その傷ついた魂とともに、永久に眠るがいい」


 …違う、あれは夢だ。


 暗闇にいる。
 いや、違う。光はある。ただ、それが見えないだけだ。
 目が見えない訳ではない。ただ、見えないだけだ、光が。


 ……ニーナ。
 目が覚めたら、君に会えるね。
 …………………
 おやすみ


 一つの王国を滅ぼした魔族。その魔族が、実は人間だった、と言う噂が流れた。
 魔族は後に、勇者に倒された、と言われている。
 その魔族の心を知るものは、いない………


 異世界の、物語。