gallu’s blog

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

誤誘導の怖さ

一般的に情報は「正しい」か「嘘をついているか」で判断されやすいのですが。
「正しい情報の一部だけを出す事で誤誘導を導く」という手法がありまして。ぶっちゃけ嘘よりもタチが悪いですっていう、これはそんなお話です。


とある作品での作り話なのですが。
発端は。
ある人物Pが、小国Bから「原子力発電所に関する技術供与の打診」を受けました。
問題なのは。小国Bは軍部独裁体制であるために。ここから割と容易に「核兵器への転用」が連想されます。


元々、他民族他宗教の複合国家である小国Bは、ここ十年ほどの間に内戦で10万人以上が死んでまして。
ここで、将軍Oが現れます。
彼は反対派の元帥や将軍、高級将校などを次々と失脚させて軍を一枚岩にしつつ掌握、議会の実権をも掌握。
しかし彼は「死に神」と呼ばれるほどに情け容赦がなく。
自分に逆らうのであれば政府高官各民族の指導者はもとより一般市民や仲間ですらも情け容赦なく粛正。ちなみに彼がほぼ全てを掌握してからの数年でおよそ五千人ほどが粛正されてたりします。


この、お見事なくらいの独裁政権でもう一つ彼が熱心なのが「私腹肥やし」。
内戦で未だ癒えぬ傷を持つ国民に重税を課し、その大部分を国外の自分名義の銀行口座に蓄えているとか。
しかもその一部を使って「専用の宮殿を5つも建築」。

さてここで第一問。
将軍Oに対するあなたの「この時点での」印象を適当にmemoしておいてください。


続けます。


こんな状況ですから、技術供与がどれだけ危険かはまぁ概ね予想がつこうというものです。
が、ある人物Pはいくつかの理由から、とりあえず小国Bの将軍Oと会う事を決断します。まぁぶっちゃけ「本音を聞き出すため」なのですが。


小国Bに行くと、いくつかの奇妙な出来事に遭遇します。
まず。「この話は言下に拒否されると思ってました」という将軍の発言。
人物P(と同行者)に対して観光案内の申し出はするものの、発電所に関する打ち合わせに対する驚くほど消極的な姿勢。
指輪などの装飾品がすべてイミテーションのガラス玉であること(私腹を肥やしている独裁者なのに)。
パンとチーズと水だけの、質素な昼食。
事務用のいくつかの調度品と簡易ベッド。エアコンすらない、将軍Oの私室。
隣の部屋にあるたくさんの「ローソクが灯っている」部屋。…処刑した者たちの菩提を弔っているそうだ。
その部屋にある、非常に安い金庫。鍵すらもかかっていない。その中にある、スイス銀行の口座番号。
「5つも建てた専用の宮殿」の奇妙な作り。…端的に言うと「ホテル用の作り」。
各民族の「好戦的な指導者」の粛正と圧政によって国民から自発的に生まれた国民本位の団体。


核導入の情報が国民に流れ。国民は決起します。「これ以上の圧政を許してはならない」と。
わざと警備を手薄にしたとしか思えない状況で、突入の第一陣にあっさりと、抵抗すらもせずに殺された将軍O。


その後。
国内にあれば内戦の影響による混乱で散逸していたかもしれない資産は将軍Oの口座に集中していたために問題なく国に戻り。
ホテルにすぐに転用できる宮殿のおかげでそれらはあたらしい、観光産業への糸口へとなったとか。


もし将軍が、この状況を「あらかじめねらっていた」としたら。
そのために「好戦的であったり国民の団結を阻害したりする人物を数年かけて全て粛正し、国民が自らの手で政を行う事ができるような状況を作るために1人手を汚し続けた」のだとしたら。
ちなみに。「内戦の10年で10万人」に対して「将軍の数年で五千人」。単位時間をそろえてもう一度人数を確認してみてください。
ちなみに。内戦での死亡者は「一般人を含む色々な人々」。粛正のおおよその内訳はすでに書きました。


第二問。
将軍Oに対するあなたの「この時点での」印象を、先ほどの第一問のmemoと比較してみてください。


ここから何かを感じ取るかなにも感じないかは、あなた次第。


追記
出典は「パタリロ!」73巻(ISBN 4-592-12473-1)P95〜P124の「死神と呼ばれた男」です。