がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

魔力干渉系魔法と魔法干渉系魔法

一般に「魔法干渉系」と呼ばれる魔法が、いくつか存在する。
例えば「魔法吸収」であったり「魔法発動阻害」であったり、或いは「魔法分解」や「解呪」といった類いのものや、このあたりの行き着くところが絶対魔法防御(アンチ・マジック・シェル)である。
しかし、これらは厳密には「魔法が効果を成す前の、魔力の流れに干渉をする」呪文であり、正しくは「魔力干渉系」と呼称されるべき呪文群、になる。
故に「魔法が効果を発した後の結果」に対する干渉は、原則として出来ない。

端的には「治療呪文を解呪」しても、治療効果がなくなりはしない。
これは、治療呪文自体は「(ほぼ)瞬時に効果を発揮する」ため、に、解呪対象となる「魔力」はすでに「結果を成した後なので霧散しているから」である。

一方で、いわゆる「呪いなどの解呪」や「永続呪文の解呪」については、正確には2種類の作用のどちらか(ないしその複合)となる。

一つは、多くの「呪いや永続呪文」は、ある程度ループするように「魔力を周囲から吸い取って効果を成す」回路が組み込まれており、その回路の動作自体にも(当然だが)魔力が使われる。
そのため「対象の呪に対する一切の魔力供給を、一瞬でも完全に破壊する」事で「回路の維持が不可能」となり呪文が壊れる。その「魔力供給の遮断」を行うのが、一般的な「解呪」の一つの手法である。
これに対抗するために、特に「呪い」の場合は「魔力を蓄える」「偽装する」など、様々な方法で「魔力供給の瞬断」に対抗するような術式が組まれている、事が多い。

もう一つが、端的には「熱を発し続ける」術式に対して「冷却し続ける」術式を重ねて「効果を対消滅させる」事で、実質的に「解呪」と同じ効果を生み出す、という方法がある。
この場合は「対象術式の解析」の精度が重要なファクターになるため、どちらかというと「魔力制御と魔力分析に長けた」タイプの術者が、この方法を得意とする。
対抗手段は「術式の解析を阻害する」等があり、これも一部の術式では、そういったものが組み込まれている。

魔法吸収系などについては簡単で。効果が成ったにしても「成りきれない魔力」というのは大概、魔法事象の周辺に漂っているもの、なので。
吸収系は、基本的にそれらの「成りきれなかった魔力」を吸収しているだけ、である。

魔法発動障害は、単純に「集約している魔力を散らしている」事が多い。
亜種として「集約している魔力に(使う術式にとって)使いにくい色(ベクトル)を付けて」魔法発動を阻害している、ようなケースもある。

これらの究極である「アンチ・マジック・シェル」は、周辺の魔力に干渉をして「魔力が効果を成す前に全ての魔力をジャミングする」術式である。
よく「効果範囲外からのマジックミサイルなども打ち消せる」などの事象から「魔力干渉系」とは見なされないようだが、あの術式は、実際には「範囲:ほぼ無限」であり、術者を標的にしてきている魔法について「魔力干渉をしている」だけに過ぎない。
アンチ・マジック・シェルの「範囲:ほぼ無限」については、その性質から「因果律作用系」が一部混ざっていると思われるが、そのあたりの考察はまた後日。


しかし、あまり知られていないが、真に「魔法干渉系」と呼ばれる術式が、存在しないわけではない。
一般的な魔術師程度では噂すら聞いたことがないであろうが、超が付くほど一流の術者であれば、噂くらいは聞いたことがあるかもしれない。

「真の」魔法干渉系は、「すでに成った」魔法に干渉をする事が出来る。
理屈は単純で、端的には「魔法そのものに時間干渉し、その魔法が成る前の魔力に戻した上で魔力干渉をする」というのが、その根本原理である。
故に、「すでに成った魔法」についても、普通に干渉をしてくる。

この術式が怖いのが、「一般的には知られていない」為に「この術式に対する防壁が組み込まれた術式」はあまり存在せず、そのため「大半の術式が、抵抗の余地もなく解呪される」事にある。
かつ、もし干渉時間を長くすると「治療呪文をキャンセルする」といった、今までの常識を根底から覆すような術式すらも、組む事ができる。

「超」が2つ以上程度つく術者どうしの術式の場合は、最低限これらに「ある程度」抵抗するような呪文回路が組み込まれている事が多く、それがない術式は基本的に「無防備すぎて、一切の効果を及ぼさない」と考えてよい。
ちなみに、いくつかの上位種が持つ「低レベルの呪文に対する完全防御」は、この「真・魔法干渉系」の亜種である、と考えられている(「低レベル呪文」だけ、なのは、「時間に干渉できる」魔力量に(かなり低いところで)上限があるため、である)。


「真の魔法干渉系」術式の会得は、普通に「才能がある」程度では、星のごとき高さの難易度ではあるが。
それでも「知っている」か「知らないか」は、それなりに重要な「違い」になると思い、ここに記す。