がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

滅ぶヨロシ

元ネタ( http://anond.hatelabo.jp/20150127212939 )…は削除ってるぽいので、魚拓から。
巨大銀行の巨大システム開発で大変素晴らしい経験を得たという話
http://megalodon.jp/2015-0127-2240-28/anond.hatelabo.jp/20150127212939


色々と「興味深い知見」が混ざってるので、軽く突っ込みつつ、得られる元を得ていければなぁ、っと。
まず初手。

最近まで、ネット上のIT系ニュースで度々システム障害で我々にネタを提供してくれる某巨大都市銀行の次期システム開発に下請けとして新卒から参画していた。

この「新卒から参画」ってのを読んだ上で、文末のこちらをみると、大変に味わい深い。

なお、わたしが一応技術者としてこのプロジェクトに約2年身を置いていて業務のコードは1行たりとも書いていない。

つまり「技術者として参加している、業務のコードは1行たりとも書いていない新卒エンジニア」という産業廃棄物 御仁が存在している、ってことでふね。

なお、SIerは、IT業界の就職偏差値なんかでぐぐると偏差値65という社会的にも名の知れているであろう人たちだったりしている。

そも「なんの標準偏差だ」って突っ込みからstartなのと「その標準偏差システム開発能力と因果関係にあるかどうかをまず証明したまへ」とか思ってみたりするあたりからしてアウト。

前提として、このプロジェクト自体が技術の上に成り立つシステム開発であるということだ。そして、システムを開発するのは人間である。
人間がシステムに無関心であれば当然まともなシステムができるはずがない。人間がシステム、もっと一般化すれば仕事を遂行するのに必須なのがモチベーションである。

半分ダウト。
まず「システム開発のプロジェクトで、技術の上に成り立たないプロジェクト」ってねぇし。
んで「無関心だとシステムがまともに出来ない」はそうなんだけど、それ以外に「技術力がまともになければマトモなモンは作れない」。
モチベーション「だけ」でモノをつくると、ろくなものが出来上がりません。
「いいかい
 優しいだけじゃ人は救えないんだ!!!
 人の命を救いたきゃ
 それなりの知識と医術を身につけな!!!
 腕がなけれりゃ
 誰一人救えないんだよ!!!!」
っていう、ドクトリーヌくれはの言葉を、一万回唱えたあと、百万回噛みしめましょう。

まず、SIerはほとんど公務員みたいな銀行員様をユーザとして高い金をもらって仕事をしているため、ユーザにお伺いを立てつつ政治力を発揮する必要がある。そして、偉大なるSIer様から高いお金をもらっている現場の各社はユーザとSIerにお伺いを立てねばならない。これらはシステムには本質的に全く無関係な完全なる大人の事情である。我々を率いるリーダーはその重圧に耐えながらプロジェクトの成功、というか家庭円満のために奔走するのである。そして末端の実際に手を動かす我々現場の人間は、事情もよくわからずにそのご恩を承り頂戴するのである。

うんまぁこのやり方をしたら「親亀こけたら皆こけた」で、こけるだけ。
ついでにこける前に「責任を全てなすりつけられる」可能性があるので…まぁ若いから仕方がないんだろうけどねぇ、的な感じ。

事なかれ主義というのは本当に大事で、長いものに巻かれるという処世術を身につけることができた。

「下手に習うと下手がうつる」とはよく言ったもので。「駄目に習って駄目がうつった」典型。

上記の理由から、国やユーザ、末端の人間から見た場合はSIerの決定は絶対である。反論の余地や権利など存在しない。

子供の教育からなんから一通りよく言われている(はずの)事ですが。
「無理なもんは無理」ってちゃんと意思表示しないと状況は悪化の一途。後は「駄目な連中からは逃げ出す」ことが、自浄作用の始まりです。

至極単純明快で且つ確実である。納品したものの質などどうでもよい。スケジュールにさえ間に合えばいいのだ。

「納品したものの質などどうでもよい」これが「当たり前」になるときが、あなたの死に時。
まぁだから「SIはもうオワコン」とか言われるのだろうけど B-p

例えば、Aという作業が依頼され、納期が今から10営業日。ユーザ確認を含めると5営業日しか作業の時間がない。そんな時はチームの都合でタスクを分断化する魔法を使えばいい。

10人の女性にお願いすると、一ヶ月と一日で赤子を一人、産むことが出来るのだねぇハラショー。
人月の神話(ソフトウェア開発の神話)って、出版年、いつだと思ってるざます?*1

人月の神話【新装版】

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なお、ここでいう進捗とはまったくシステム構築に無関係の「スケジュールがどれだけ進んでいるか」の進捗である。この切り分けを文字で伝えるのは容易いものではない。

「まったくシステム構築に無関係」な時点で大変にアウトなのだが。
それに気付いていないか、或いは「気付いていても止められない」時点で死に体である。

そして、工数が明らかに非常識な場合はどうするか。歴史的に見ても人間を増やすしかないのは自明である。確実だし、たくさんのプロジェクトで行われてきたのだから当然だ。

ドドドドド阿呆。

よくある話っぽい上に読みづらい文章で大変申し訳ないしまだまだ書き足りなさはあるのだが、これらの経験から得たものとしては、「思考停止こわい」である。

是非、鏡に向かって連呼してください。


本人「危機感感じてて自虐込めて」書いているのだと思われるのですが、要所要所に「馬鹿に習って馬鹿に染まった」色が見え隠れしていて、大変に微笑ましいものがあります。
このまま本人勘違いして「とはいえまぁ必要だしなぁ」とか盛大に勘違いするまえに、抜本的な改革とかをなさっていただければ、と願ってやみません。
具体的には「転職する」とか。


いつもしみじみ思うのですが。
自虐的だったり「大人な態度」だったりってのは、現状を「一時的に誤魔化す」効果はあっても、ソレを超えるモンではありません。
一時期、ツイッターで「幻影治療呪文(治った"ように錯覚する"呪文)」の話を軽くしていた話があるのですが、概ね、同梱です。


それの尻ぬぐいが年増しに増えるおいちゃんとしては…お客様のビジネスに有害なので、早めにどうにかなっていただけると有難いなぁ、とか思う所存でございます。


以上、火災現場からお送りいたしました。

*1:1975年。日本語訳の初手が1977年