がるの健忘録

エンジニアでゲーマーで講師で占い師なおいちゃんのブログです。

プロジェクト:4つの変数

一般に、プロジェクトには4つの変数がある、と言われています。
コスト、スコープ、時間、品質の4つがそれです。
相も変わらず「Webアプリなら」を前提に、ちと考察をしてみましょう。


まず前提として。
コストは「御予算」。スコープは「どこまでやってどこからやらなくていいのか」。時間は「作成時間」。品質は…通常「真っ当に動くかどうか」とかそのあたりなのですが、Webの場合、例えば「100%落ちない」とか「ん万アクセスに耐えられる」とか。「後で機能を修正/追加できるか」なんてのも私は品質に含まれると考えています。


んで。
困った方向に動かす時に、ほかの変数にどう影響するのかを考えてみましょう。


まずいっちゃん多いのが、お値段を安くしたい「コスト」の低下。
ここを下げると「スコープの減少」「品質の低下」を招く事が多いです。作成時間には基本あんまり影響しないですね。


次に多いのが「やりたい事が増えちゃった」スコープの増加。
スコープを広げると「時間の増加」「コストの増加」を招きます。これ自体では、品質には影響を及ぼしません(一応)。


(本当に必要かはともかくとして)途中から急に声高に叫ばれる事のある品質の向上。いや実際「後々修正が容易かどうか」とか、そのあたりはかなり重要なのですが。
品質を上げると「コストの増大」「時間の増加」に繋がります。


色々と「訳あり」な発注で多い「納期を早くして欲しい」時間の短縮。
時間を短縮させると「コストの増加」「品質の低下」「スコープの減少」に繋がります。

優先と犠牲

次に。
「何を優先にして、何を犠牲にするか」の選択を少し考えてみましょう。
4つの変数があるので、最優先(或いは不変)の変数が1つの場合から4つの場合までをそれぞれ考えてみます。

1つ優先型

なにがしか特殊な事情があるときにはどうぞ。
ただ、正直ちょっとピーキー過ぎる振りではあるので、あまりお薦めはできませんが。


コスト最優先:
予算だけがかっちりと決まっている時に。ただ、スコープと品質が犠牲になっている時点で「できあがりが保証できない」ので、ビジネスとしては事実上非常に危険です。


スコープ最優先:
品質とコストの双方が犠牲になってもokであるならば。


時間最優先:
大抵の場合「コストが跳ね上がる」「スコープが減少する」「品質が低下する」の三つどもえを喰らいます。


品質最優先:
概ね「時間が延びて」「コストがシャレにならないくらい跳ね上がる」のが定石です。

2つ優先型

多分、比較的無難な形です。
とはいえ、チョイスを間違えると大変ですが。
コスト+スコープ優先:
「コストが妥当である」限りにおいて、なんとか。ただ、品質の低下が時々シャレにならないので注意しましょう。


コスト+時間優先:
真っ先に「スコープの削減」が提案されますが、それでも何とかなるならよいチョイスです。


コスト+品質優先:
これも「スコープの削減」を強く要求されます。ただ、いわゆる「β版でstart」と考えるのであれば、悪くないチョイスです。


スコープ+時間優先:
「やる事が決まっている上に時間がない」状況ですね。九分九厘「コストが跳ね上がります」が、一方で品質にも注意を払わないと時々酷い事になります。


スコープ+品質優先:
「やる事も決まってるし品質も確保したい」ケース。予算がある程度流動的に増やせるならよいのですが…


時間+品質優先:
「とにかく早くopenしなきゃいけない大規模サイト」のイメージでしょうか。スコープをギリギリまで削りつつ、予算は概ね「びっくりするほど跳ね上がる」のが通例です。

3つ優先型

一つ選択肢ではあるのですが…残る1つに多大なる負荷がかかるので。
そのあたり、よっぽど真摯に考えていかないと痛い目に遭います。
「優先しない」1つを書いていきます。


コスト度外視:
いやまぁこれはこれで「アリ」なのですが。大抵予算が下りないですよねぇ?


スコープ度外視:
割とあるチョイス。「後で付け足せる」前提なら、十分にあり得ると思います。
とはいえ「そのサイトをそのサイトたらしめるコア機能」を削るともの凄い事になるので、そのあたりだけはご注意のほどを。


時間度外視:
あんまりないチョイスですね。時間とコストはある程度までは相関関係にあるので。


品質度外視:
プライベートでしたら。ビジネス的には「何があろうともあり得ない」チョイスになります。
# 「まともに動かないサイト」にお金を払う、頓狂なお客様がいらっしゃるんであればともかく。

4つ優先型

無理です。不可能です。
ここを望まれるケースが皆無ではないのが現状ではあるのですが、優先順位というのはそも「順位のある優先度」なのです。
「全部緊急」は無意味です。


さて。
実際のビジネスにおいて、極めて多くの場合「コスト」という変数はうごかしがたいのが実情かと思います。
また、その後の事を考えると「品質」を落とすのは概ね「安物買いの銭失い」にしかなりえません。
だとすると「適正な時間で無難なスコープ」または「急ぎの時間で、極限まで削ったスコープ」あたりが、つまりは「コストと品質を重要視して、時間とスコープを犠牲にする」というのが。
ビジネスとしてはもっとも真っ当な落としどころかと思うのですが、どんなもんでしょうか?